平成27年2月3日(火)
。
映画:
「マエストロ」。
監 督:小林聖太郎
脚 本:奥寺佐渡子
原 作:さそうあきら
指揮指導:佐渡裕
キャスト:
香坂真一/松坂桃李
橘あまね/miwa
阿久津健太朗/古舘寛治
村上伊佐夫/大石吾朗
谷ゆきえ/濱田マリ
榊涼子/河井青葉
今泉徹/池田鉄洋
鈴木稔/モロ師岡
可部直人/村杉蝉之介
伊丹秀佳/小林且弥
丹下浩/中村倫也
一丁田薫/斉藤暁
島岡脩三/嶋田久作
相馬宏明/松重豊
ストーリー:
ヴァイオリニストでコンサートマスターの香坂(松坂桃李)のもとに、不況で解散した名門オーケストラ再結成の話が舞い込む。しかし練習場は廃工場、集まってきたのは再就職先も決まらない“負け組”楽団員たちと、アマチュアフルート奏者のあまね(miwa)だけだった。久しぶりに合わせた音はとてもプロとは言えず、不安が募る香坂。そこに謎の指揮者・天道(西田敏行)がやって来る。彼は再結成を企画した張本人だが経歴も素性も不明、下ネタを連発し、指揮棒の代わりに大工道具を振り回す。そんな自分勝手な進め方に楽団員たちは反発するが、次第に天道が導く音の深さに全員が引き込まれてしまう。やがて楽団員たちは、その破天荒な指揮に導かれ、それぞれが抱えていた心の傷と挫折から自信を取り戻していく。だが香坂だけは天道の隠された過去を知り、さらに反発を強めていくのだった。そして迎えた復活コンサート当日。意気揚々と演奏に臨むオーケストラのメンバーたちは、天道が仕掛けた本当の秘密を知ることになる……。バラエティー番組モニタリングで、心の広さとプロ意識をみせてくれた桃李君。
時間調整もいい感じになるので、と、軽い気持ちで鑑賞。
真っ白な状態で劇場に入ったので、大人計画の村杉さん(クラリネット)や、ヴェニスの商人のポーシャ役&ロッキーホラーショー(ブラッド)でイイ感じだった中村倫也君、私の中では教祖様なイメージ強い(ブラッディ・マンディ)嶋田久作(ホルン)さん、女装も楽しい松重豊さん、池田鉄洋さん(コントラバス)と、ずらっと並ぶ手練な出演者さん達に喜び、オープニングにWOWOWの文字を見つけて、期待値上昇。
心揺さぶられて涙が頬をつたう事数回、終盤には立ち上がって拍手しそうになり、
上映終了後は余韻に浸っていたいというか、感動して動けませんでした。
苦悩やプライド等人間の持つ感情の闇、今一歩羽ばたけない音楽家達の技術的闇、
この両方に救いと光がやってくる道程の描き方も、とても温かいです。
音楽でも舞台でも、区切り区切りもしくはまだ音や動きのある間に拍手や歓声をあげられる状況というのは、
心の全部が感動で占められているわけではないと思います。
直ぐに動ける余白のある感動なのだと思います。
身体も心も100%、痺れた感動の直後は、動けません。
作品の中に「天籟」という言葉がありますが、1度経験しました。
降り注ぐ音達がキラキラしながら会場全体を包み込む中、身体中の細胞がざわめいて、
演奏が終わってからしばらくの間、拍手も声もあげられませんでした。
会場全体が、シーーーーンとなって。。。
暗闇の中、舞台の奏者が動き始めるのが見えて、パラッ、パラと拍手が起こり、
直後、歓声と拍手が地鳴りのように響き渡りました。
この映画は、その時と同じ感覚でした。
満員の客席の中。。。
・西田さん演じるマエストロの顔芸。
・マエストロの指揮についていこうとする演奏者達個々人の表情。
・劇場内に響く音楽。
この3点が、ぐるぐるめぐるのを見て聞いているうち、ホロホロ涙が溢れてきました。
生え抜きではないにしろ、音楽を愛する演奏者達と指揮者の全力投球の演奏と真摯な気持ちがダイレクトに伝わってきて心揺さぶられ、涙がとまらなくなりました。
一人の観客の為のレクイエム。
作者が、その音によって聴く者を昇天させる為に書いた音符。
その音を、人一人殺す気で弾け!とマエストロに言われた真一。
指示通りに弾いたら人一人旅立ってしまうという恐れに揺れ動きながらも、
覚悟を決めて弾ききった真一の姿にも泣けました。
真一が全力で送り出した彼女は、きっと幸せな旅立ちだったと思います。
ブラボーな演奏からの誰もがいつかは迎える死への最高のレクイエムでした。
上記2つのコンサートの間及び会場が明るくなるまで、8割強埋まっていた客席からは何の物音もしませんでした、立ち上がって帰って行く人もいませんでした。
なぜだか、その事にも感動して、再び泣いてしまいました。
劇中、「いい音楽を演奏する事も自分達への報酬だと思う」という台詞がありますが、
いい音楽は、弾く側も聴く側も幸せにしてくれると思います。
気持ちのこもった一生懸命なあらゆる事は、人の心を動かし、永遠にのこっていくと思いました。
感動が繋がる事で、芸術も命も、未来へ繋がっていくんだな〜と思いました。
良い作品を創っていただき、ありがとうございました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜とっても胡散臭げな天道が「いい音楽」を作ろうとしている事に、集められた奏者さん達がちゃんと気付いて、認めて、ついてくのもいいな☆と思った。
道を極めようとしている者同士の心の通い合いっていいな☆と羨ましく思う。
楽譜通りに弾いたんじゃ、無味乾燥。膨らみをもたせてこその芸術。
ごぼうは、真剣正宗だったのね…。
運命は、1拍おいてからのジャジャジャジャーン。
ホルンの斉藤暁さん演じる顔面神経麻痺だった一丁田さん。
こわーいお兄さん達にボコられて治るのかと一瞬思った:笑。
楽器は、ちゃんとメンテナンスしてあげてねと金さんの金槌コンコン。
バイクの音も、同じ♪ね。
(温かな気持ちになった)
「顔のおっきい方」の嶋田さんにクスッ。
中村倫也君ティンパニー。
やっとメンバーになれたのに解散を言い渡す真一に一言「あんたは未来があるからいいよな」。
グサッときた、両者にとってキツイ言葉だと思った。
コンビニの商品で練習して、いいの?:笑。
オーボエ君とクラリネット君の意地の張り合い。
気取ってても、二人共楽器を愛してる♪。
上達の遅い奏者達にマエストロの言葉。
「これが最後やと思て弾いたことあるか?」
震災で、両親を目の前で亡くしたあまねが、心を込めてふくフルートの音色。
(とってもとーっても心に響く音で涙溢れてきた)
口蓋が高いといい音が出るのね♪。お漬物噛む音も参考になるのね♪。
大石吾朗さん演じるヴァイオリンの村上伊佐夫さん。
年配の為、指が素早く動かなくて一人さらし者状態からの解散決定。
自殺しようとしたのをすんでの所でとめたマエストロ。
村上さんが初めてオーディションに受かった時の曲を指揮棒でリード。
そしたら、ちゃんと指が動いたー。
(ボロボロ涙が溢れてきた)
「報酬はお金だけでしょうか?いい音楽を弾くことも報酬では?」
「オーケストラで弾こうとするなら、みんながいる、今できることが必要」
の台詞も印象的だった。
マエストロが、1人で指揮棒ふって練習している所に1人増え2人増えてくのも泣けた。
演奏会、指揮棒が飛んでっても、みんなが指揮者の事見ながら、いい表情でいい音楽を奏でてる姿にも涙。
人はいつかかならず死ぬ、あっという間や。
音楽も消えてってしまう、でも皆で響き合えたら永遠になる。
今年の良い言葉認定〜!!。