2015年03月03日

舞台:「ハムレット」♪。

平成27年3月3日(火)晴れ

舞台:「ハムレット」。
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演出:蜷川幸雄
作:W.シェイクスピア
翻訳:河合祥一郎
キャスト:
藤原竜也(ハムレット)満島ひかり(オフィーリア)
鳳 蘭(ガートルード)平幹二朗(クローディアス)
満島真之介(レアティーズ)、横田栄司(ホレイシオ)
たかお鷹(ボローニアス)内田健司(フォーティンブラス)
山谷初男、大門伍朗、塾 一久
廣田高志、間宮啓行、妹尾正文、岡田 正、清家栄一
新川將人、星 智也、野口和彦
【ストーリー】
亡くなったデンマーク王の弟クローディアスは、王の跡を継ぎ、兄の嫁であったガートルードを妻にする。
父の死から2ヶ月もたたぬうちの再婚、叔父の王位継承を喜べないハムレットは、ある日、家臣や友人ホレイシオから、父王の亡霊を見たとの話を聞き、共に亡霊の出現を待つ。
現れた亡霊はハムレットと2人きりになり、自分の死はクローディアスに依る毒殺であったと告げる。
父から、命・王位・母を奪ったクローディアスに復讐を誓ったハムレット‥。
王子の変貌を憂慮する現王と王妃は、宰相ポローニアスから、自分の娘オフィーリアに冷たくされた事が原因でしょうという助言を受け、オフィーリアを使って、恋の病かどうかの探りをいれる。
指示通りハムレットと会ったオフィーリアは、ハムレットに罵られる。
気晴らしにと、よばれた旅芸人達に、亡霊から教わった毒殺劇を演じるよう命じたハムレットは、劇を観るクローディアスの様子から、父を殺したのは彼だと確信。
最近の振る舞いを正すよう母に呼び出されたハムレットは、激高して、王妃の部屋に隠れていたポローニアスを殺してしまう。
一方、クローディアスは、自らの陰謀がばれないように、ハムレットを暗殺しようと、ポローニアスの息子レアティーズに、妹が狂った理由とポローニアスを殺したのはハムレットだと告げる。
父と妹の仇をとろうとするレアティーズに毒剣と毒入りの酒を用意して、ハムレットを剣術試合に招く、クローディアス。
だが、毒入りと知らずに酒を飲んだ王妃、戦ったハムレットとレアティーズは共に毒に侵される。
死の直前、レアティーズから、剣術試合という陰謀は、クローディアスによる指示だと聞かされたハムレットは、クローディアスを殺害、友であるホレイショーに、世の中に真実を伝えてくれるよう頼み、息絶える。


舞台上には、日本の貧乏長屋。
スクリーンには、「このセットは日本で初めてハムレットが紹介された19世紀末、貧しい民衆が住んでいた家屋です。私達は、この場所で、ハムレットの最後の稽古を始めます」と、日本語と英語で書いてある。
上演時間になると、キャストが舞台に並んで一礼して、幕が開く。

甲冑を纏い長い槍を持った兵士が、槍を振り回しながら登場。
ぶんぶんいう音に、緊張‥。
そこに現れるのは、物言わぬ亡霊‥。
亡霊(亡王)とクローディアス(現王)は、平さんの2役。
「ザ・王様!」な威厳漂う佇まいと喋り方。
腰に巻いたバスタオル1枚の姿になり、ひざまづいて罪を懺悔する水垢離。
頭から水をかぶり、しめ縄でバシッ、バシッと自分を打つ平さん。。。
(寒いよね、痛いよね、大丈夫かな、平さん‥と思いながら見てた)
濡れ鼠になっても、王としての風格を保ったまま。
欲に喜び、罪に悩み、策略をめぐらすクローディアスは、生身の人間らしさたっぷり。
一方、亡霊となった兄王は、不気味で生気が無い。
怨念の塊となったふわふわした存在は、ハムレットを狂気に誘い復讐を促す。
(ひゅ〜どろどろ〜、お化け〜〜、と、寒気が‥)
人間味溢れるヨーロッパの王と能舞台に現れる幽霊の演じ分け、平さんの2役と知らなかったら、別人が演じてると思っただろう。
さすが!!。

鳳蘭さんの王妃様も、風格たっぷり。
母としての顔、女としての顔。母性と愛欲を見事に演じ分け。
母の子供への想いは、絶対愛なのね、と感じた。

シャンデリアが3つ天井にあるだけの舞台上も、お二人がいらっしゃると、そこは「お城」になる。
お二人の、「ハァムレット」と「オッフィーリア」の発音も、とってもステキ☆。

満島ひかりちゃん、実物はテレビの中の100倍可愛い!!。
顔ちっちゃくて、目が顔の半分位あって、鼻筋はとおっていて、愛らしい唇。
生きたフランス人形のよう。
ハムレット王子に恋する女の子、ハムレットに罵られ傷付く乙女、父を失い狂っちゃう女性。
「美しいオフィーリア、地獄のそのものさえこの子は愛らしい魅力的なものに変えてしまう」の表記通り、常に可憐さ漂うひかりちゃんオフィーリアは、その可憐さゆえ、喜びや悲しみが、深く伝わってくる。
特に、ハムレットに贈り物を叩き落とされ、「尼寺へ行け」と何度も言われて捨てられる場面は、酷いこと言われてるのにハムレットの事を心配する姿に、可哀想で涙でてきた。
ひかりちゃん、歌も披露してくれた♪。狂った心の中にある正常な思いを歌にのせてるオフィーリア。
切ない〜〜。

満島真之介君は、成長過程?。
毒が身体に回って「もう口もきけませぬ」と発したしばらく後の「‥クローディアスの指示です‥云々」の台詞が、健康な時と全く同じ口調なので(口、きけてるよね)と思い、ハムレットが段々弱っていってホレイシオの腕の中で最後の願いを告げてる最中、息絶えて横たわっているはずのレアティーズが身体を上下させながら呼吸してるのが目に入ってくる(深呼吸するのはやめて〜、全体の雰囲気壊れる‥)のは、微妙だった。
カーテンコールで、ひかりちゃんとわちゃわちゃしてるのは、微笑ましかった〜♪。

たかおさん、息子と娘を愛する良き父親であり、家臣としての忠誠と出世欲のあるポローニアス。
早口言葉選手権出題演目のようなややこしくて長い台詞を、リズミカルに話す。
とっても流暢(早めの口調)なのに、一言一句、全て聞き取れる。
すごいわーー。

蜷川さんの舞台でよくお見かけする体格のいい男性。
先回は、民衆の女性役で拝見した記憶がある。
今回は、髭男爵の山田ルイ53世が、リボンの騎士の衣装のいでたち。
ハムレットに米搗きバッタよばわりされてる長いものには巻かれる役。
毎回インパクトある役で、印象に残ってる。
彼が、帽子を頭の上からくるくる回しながら胸元に持って来て一礼する様子は、楽しくて‥。
竜也君ハムレットが真似して手を頭上からくるくる回しながら胸元に持ってきておじきする姿は、かっこよくて‥。
あの仕草で竜也君王子にお願いされたら、仰せのままになっちゃう揺れるハート

竜也君ハムレットは、ハンサムで繊細な悩める男の子に始まり、父(亡霊)の告白に驚愕して心に浮かんだ復讐心に苦悩、自分のふがいなさに生死の選択を考え、愛していた女性に裏切られたと勘違いして激高し、復讐に生きがいを求め、思いを遂げて亡くなる迄を、きちんと演じ分けていた。
一人苦悩するかと思えば、怒りに身をやつし、信頼できる友に安堵し、けれど、決して心の扉は開放しない。
さっきまで身をよじらせてたかと思えば、一転、登場してきた臣下には、陽気に対応する。
くるくる変わるハムレット王子の様子は、心の中の揺れ動きそのままなのかなぁ‥と。
復讐を果たし、友の腕の中で永眠するその表情は、穏やかで、運ばれていくハムレットの手を友人ホレイシオがそっと握る場面は、とても優しい気持ちになる。

先王、現王、王妃、宰相、宰相の子の兄妹、王子、みーんな亡くなっちゃって、デンマークという国もノルウェーに侵攻されちゃうというとっても悲しい話なんだけれど、観劇後感に悲壮感が漂わない演出、私は、好きわーい(嬉しい顔)

能舞台っぽく笛や読経を使ったり、お内裏様とお雛様を王と王妃にみたてたひな壇を使っての歌舞伎調の劇中劇、男役と女形を一人で演じ分ける独演等、日本の伝統芸能も楽しめた。
墓守の場面では、死について「おら、東京さ行くだー」っぽく語られる
オフィーリアが川側の柳の枝が折れて溺れた件について、「川の流れという水に近づいてったのは人間で、水が近づいてきたわけではない、死へ近づいていったのは人間の方だ」という台詞には、自分自身、命をどう扱って生きていくか、ちゃんと考えなきゃと思った。

役者は思いを台詞にのせ、思いののった台詞達が叫び身をよじる。
竜也君の、「役者は時代の映し鏡だ」の台詞は、俳優として生きる事への決意表明のようで、頼もしく感じた。
ポローニアスが「ジュリアス・シーザー」のシーザーを演じたという話に、亡くなったシーザーを演じた横田さん(今作ではホレイシオ)のいる側で、竜也君ハムレットが、「神殿で死んでんのか」と茶化してて、いいのかしら?とか思ったり(^^)。
「古今東西〜」な言い回しも上手にできてた。
レアティーズVSハムレットの剣術試合。
目の前で、真之介君と竜也君のフェンシング!!。
ひゅんひゅん唸る(たぶん金属製)の先の尖った剣を振り回す二人。
竜也君、くるっと回ったり、かがんで避けたり。
カンカン当たる剣同士、竜也君の顔や髪の毛スレスレを真之介君の剣が通る‥。
スリル満点。。。(心配もいっぱい)
数回行う勝負の開始前の「さぁ、来いっ」って感じの竜也君のステップ踏む姿に萌える。

日本っぽさ満載のハムレット、お上手所の演技を満喫。
竜也君のこれからも、とっても楽しみになった作品かわいい
posted by みぃみ at 16:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする