
舞台:『Judas, Christ With Soy』太宰治「駈込み訴え」より

企画:森山未來
Produced by Mirai Moriyama
演出・美術・振付:Ella Rothschild
Directed, Stage Designed and Choreographed by Ella Rothschild
音楽:吉井盛悟
Music by Shogo Yoshii
出演:
森山未來 Ella Rothschild 吉井盛悟
Cast: Mirai Moriyama, Ella Ella Rothschild and Shogo Yoshii
会場:内子座(住所:愛媛県喜多郡内子町内子2102 )
7月12日(日)鑑賞。
愛媛県は内子の内子座にて開催のお知らせチラシを「プルートゥ」の時にいただいて以来、上演を楽しみに待っていた舞台。
イスラエル帰りの森山未來君のダンスが生で観られる〜♪と、わくわく。
一緒に出演するエラさんとイスラエルで上演した20分程の作品を、アレンジを加えての60分程の演目にした今作。
松山駅で内子に向かう為の列車を待っていると、「本日、内子座にて行われますダンス公演〜」とのアナウンス。
わっ!、松山駅で、この公演の事JRさんが案内してる〜♪と、嬉しくなりました。
太宰治が書いた「ユダのキリストへの想い」のお話。
簡単に言うと…。
好きで好きでたまらないあなたの為に粉骨砕身している私(ユダ)がいるからこそのあなた(キリスト)なのに、あなたは私の事を軽んじてちゃんと見てくれない。
ならもういい。あなたなんて大嫌い。地獄へ落としてやる。
(キリストが磔になった後)、あぁ、私は、大好きなあなたになんという事をしたのでしょう、あなたのいないこの世なんて、生きている甲斐も無し。死んでおわびします。
な、お話。
内子に滞在して作った作品というだけあり、舞台に向かって右側には蝋台に蝋燭が灯してあり(蝋燭は内子の特産品)、向かって左側には上部に座れる幅のある折り畳み可能な背丈より大きな茶色い板が数枚、板には階段が立てかけてあった。
出演者は、森山未來君とエラさん、吉井さんの3名。
未來君の衣装はベージュっぽいTシャツとゆるめのズボン。
エラさんは、ワンピース。
吉井さんは、チョッキとズボン。
太宰の駆け込み訴えの文章を、関西弁で語り始める未來君。
ユダのキリストへの不満部分を語った後は、黙ったままダンスに移行。
エラさんと未來君、絡まったり離れたり、抱き合ったり突き飛ばしたり…。
一人の人物(ユダ)の、キリストへの愛情と憎しみ、尊敬と軽蔑という相反する心の葛藤を表現しているように見えました。
二人のダンスに深みを持たせるのが吉井さんの音楽。
笛や鼓や三線が加わると、「想い」の世界が広がります(←理解しやすいの意)。
途中、衣装替えがあり(たぶんこの場面は、ユダがキリストを裏切り、キリストが処刑される部分だと思うのだけれど…)、未來君もエラさんも正装っぽくなり、エラさんのヘブライ語と未來君の関西弁が同時に発せられます。
全く異なる音なのに、抑揚(イントネーション)が重なるのが、不思議かつ面白くて、人間の感情表現は国境を越えて通じ合うのね…。
その後、エラさんと未來君という一人の人間の2つの感情は、荒れ狂い壊れ破滅します。
ここで初めて、離反していた感情が、合体した(一つになった)ようです。
自らも命を絶つことで、心の葛藤からは解放されたユダの末路、切ない…。
ワインを飲みながら激しく踊るエラさん、汗もほとんどかかず、日本語もお上手で、見とれていました。
未來君、めっちゃ汗だく、髪乱れまくってますが、頭だけでの倒立に両腕だけの階段登り等々、魅せてくれました。
終盤、歌う箇所があるのですが、かなりの運動量をこなしたお二人なるも、歌っている間は二人共明瞭な発声、歌の合間に静かにはぁはぁという息づかいがきこえ、歌が始まると息は全く乱れていません。
プロってすごーーい!と思いました。
「和」の楽器を3人が演奏したり、内子座という木造建築の特性を上手く使った影絵の演出等、
音楽とダンスを満喫しました

最前列真ん真ん中な時間、至福でした〜
