2010年04月01日

「第64回毎日映画コンクール受賞作品鑑賞会A。」♪。

平成22年4月1日(木)雨曇り

「第64回毎日映画コンクール受賞作品鑑賞会@。」♪の続き。

剱岳登頂間近で静止画になり、次画面は、山頂で測量している場面になっていた答え。

何故、登頂成功の歓喜シーンを撮らなかったのか。。。???。

その答えは。。。

仲村トオルさん演じる日本山岳会:小嶋烏水の柴崎への台詞。

「自分達は登ればそれで達成なので、遊びかもしれない。あなた達は、登ったところから仕事が始まる。」に、象徴されるように。。。

「この映画は登山の映画ではなく、仕事の映画だから。」。

登頂できた〜、ばんざ〜いグッド(上向き矢印)ではなく、登頂してからが測量の始まりの映画だからだそうです。

ちなみに。。。

日本山岳会の小嶋烏水達の洋服。登山に、どうなの?って格好でしたよね。

あのお洒落な格好は、本当に当時のままの服装なんだそうです。

なぜって、明治時代、山に登れたのは、皇族や貴族等、お金持ちの人達。この時代、その人達の間で流行っていたのは、西欧風のファッションだったんだそうです。

もう一つ。柴崎を演じる浅野忠信さんへのオファーについて。

浅野さんに、直接木村監督が出演交渉。

オファー時の台詞は。。。

「私は、あなたの過去の映画は1本も観ていないけれど、あなただと思ったのでオファーに来た。本屋であなたが表紙の雑誌を見て、あなたに決めた。なぜなら、そこには、あなたの精神性が表れていたからだ。」。

年齢を重ねる事に表れる人間性。日々の過ごし方って大事ねひらめきと思った私。

柴崎の奥さんの柴崎葉津よを宮崎あおいちゃんが演じたのは、スタッフさん全員の総意だったそうで、木村監督は、「孫みたいな女の子に。。。」って最初思ったそうですが、あおいちゃんと仕事をしたいexclamationというスタッフさんの声を受けたんだそうわーい(嬉しい顔)

途中、宇治長次郎が息子を殴ったシーン。

こちらは、監督自身の実話だそうで。

17歳の時、息子さんが、監督にはむかって来たのでバシーンパンチと鉄拳をくらわし。。。

「オレの人生は、オレのものだ。お前は入ってこれない。同じように、お前の人生はお前のものだ。オレは入っていけないんだ!。」と怒鳴ったそうで。。。

そこには、「だから頑張れ!。」って意味が込もっていたそうで、息子さん、立派な社会人として働いていらっしゃるそうです。

愛ですね〜揺れるハート

そして、本題。

どうしてこんなに大変な思いをしてまでこの映画を撮ったのか。。。

コンセプトは2つ。

・誰かが行かないと道はできない。

魯迅の「地上に道は無い。多くの人が歩いた後に道はできる。」が、源流だそうです。

・美しさは厳しさの中にあり、人の心が入っているものこそ美しい。

ロダンの「考える人」が、腰をひねってそこに手を置くという不自然な苦しい体勢でいる理由は、腰を捻ると筋肉美が現れ美しさが増すから。

女性が高いハイヒールを履くのも、ひとえに美しい脚線の為。

激しい風雨の中だと、人は踏ん張って、本気で頑張る。

そこに真の美しさがあるぴかぴか(新しい)

例え、世間から認められずとも、黙々と自分の仕事に研鑽する姿は、確かに美しいです。

誰かの評価を気にするのではなく、いかに真剣に物事に取り組んだか。

なにをしたかではなく、どう努めたのか。

この事を心に留めておけば、しっかり前を向いて歩めるはず。

木村監督のお話を聴く事ができて、本当に良かったですキスマーク

【剱御前小舎:親爺さんの撮影見聞録】

http://tsurugigozen.com/tennoki.htm
posted by みぃみ at 10:34| Comment(5) | TrackBack(1) | 映画・舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ロダンに魯迅…。
物を創る人達は、よく見て、考えて、取り入れてるんだね。

勉強になります。

考える人、そんなに深く考えずに見てた(^_^;)。
新たな美術観賞ポイント発見!。ありがとね♪。
Posted by あずさ at 2010年04月01日 12:23
重ねてきた経験に勝るものはない、って思ったよ。

ひとつひとつ心にグッとくる言葉が沢山。
Posted by 真尋 at 2010年04月01日 19:19
あずささん>私も勉強になりました。
「考える人」見た時、そこまで考えなかったもん。
美術館の解説プラス作者の意図、両方わかると、より美術鑑賞が楽しめるね♪。

真尋さん>「亀の甲より年の功」だね。
まだまだ未熟者です。わたくし…。
Posted by みぃみ at 2010年04月02日 16:27
2回に分けての詳しいレポート、読ませていただきました。
TB、コメ、ありがとうございました。
去年の公開のときに「点の記」を見て、柴崎が当県出身の方だと知って、ちょっとうれしくなりましたね。
で、この録音を担当した石寺さんという方も、山形の方だったんですよ。
とにかく力の入った映画で、これを撮ることを撮ろうとしたというのがまたすごかったです。

ここオフレコで。
ここだけの話で・・・と聞いたのですが、最後のストップモーションのシーンのときに、テープがなくなったのだそうです。そこに行くまですごい風景がいっぱいあって、あっちもこっちもと撮るうちに、クライマックスのときにやば!だったとか。
で、例の山岳ガイドの方が、ベースまで取りに行く!と言って取りに行かれたそうなのですが、往復普通なら8時間かかる道のりを1時間半で帰ってきたとか。
なんて話も聞かせていただきました。
ぜひ、「撮影の記」も機会がありましたら、どうぞ。
またあの感動がよみがえってきました。
Posted by sakurai at 2010年07月09日 21:04
sakuraiさん>こんにちは〜。
トラックバック&コメントありがとうございます<(_ _)>。

「剱岳 点の記」だけでも凄い映画だなぁ、と思っていたのに、その映画を撮っている様子を撮ったものがあるとsakuraiさんのブログで拝見して、ビックリ!&観たい気持ちでいっぱいです。

オフレコのお話、ありがとうございます♪。

ヤバ!な状態のスタッフさんのお姿を思わず想像してしまいました…。

山岳ガイドさん、片道45分って…、びっくりです。
積まれた経験ゆえのルートを通られたのでしょうが、まさに山の人なのでしょうね(^^)。
思わず「火天の城」の緒方直人さんが思い浮かびました。

テープがなくなる程の素晴らしい風景特集も披露してくれたら嬉しいなぁ、、、なぁんて思います☆。


Posted by みぃみ at 2010年07月12日 09:33
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「劔岳 撮影の記」 監督・大澤嘉工さん&「劔岳 点の記」録音・石寺健一さんトーク
Excerpt: 思いもかけない話も聞けたのですが・・・。
Weblog: 迷宮映画館
Tracked: 2010-07-09 20:52
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