

落語:「第16回上方落語を楽しむ会」(2010年10月3日公演)鑑賞。

【出演者】林家染丸師匠・林家染吉氏・林家愛染氏 三味線:長嶺かほり氏
【演 目】地獄八景亡者の戯・千早ふる・平林
平成21年度「芸術選奨・文部科学大臣賞」を受賞なさった林家染丸師匠の特別公演とのお手紙をいただき、早々にチケットを申込。
会場も全国チェーンのホテルの一室。駐車券にハンコをもらって

独演会?と思っていたので、愛染君と染吉君の名前を見て、ちょっとびっくり!。
高速道路をぶっとばす

170人超の熱気むんむんの中、お囃子とお三味線の音で幕が開く。
まずは、愛染君の自己紹介から。。。
明石出身の彼によると、明石海峡大橋は、「明石」と名前はついているも、神戸〜鳴門間に架かっているんだそう。。。
へぇ。。。そうだったんだ

演目:「平林」は、店の主人から本町の平林(ひらばやし)さんに手紙を届けるように言われた字の読めない丁稚さんが、誰に届けるのかわからなくなり、手紙の宛名を周りの人に見せて読み方を教えてもらい届ける相手の所へ向かう話。
正解の「ひらばやし」が。。。
「たいらばやし」
「ひらりん」
「いち、はち、じゅうのもくもく」
「ひとつとやっつでとっきっき」と、変化。
教えてもらった各々の読み方全てを覚えた丁稚さんは。。。
「♪たいらばやしかひらりんか、いちはちじゅうのもうくもく、ひとつとやっつでとっきっき〜」
と、節までつけて歌いながら歩いていると、届け先である「ひらばやし」さんが通りかかって、「俺のことかい?」と話しかけるも、「惜しい!」となり、ちゃんちゃん。のお話。
音読みと訓読み、表記方法によっては異なる字に見えたりもする、日本語&漢字の妙を体感

続いて、演目:「千早ふる」。
百人一首の中の一句。
「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 から紅に 水くくるとは」
(在原業平朝臣)
本来の意味は。。。
「今の世ではもちろんのこと、色々と不思議な事があったという神代の昔にさえも、こんなことがあったとは聞いたことがありません。一面に紅葉が散りしいて竜田川をこのように濃く鮮やかな紅色に水を括り染めにするようなことは…。」。
ちなみに、天皇にお仕えする前に、業平と愛し合っていた高子に招かれた業平が、高子に「私達の恋を歌にして書いてください。」と頼まれて詠んだ歌。
この歌が、「大変な修行を積んでやっと大関になった相撲取り竜田川が、色町で惚れた花魁の千早大夫に声を掛けるも振られ、その妹分の神代にまで振られて、俺が相撲取りなのが悪いんかいっ!と相撲取りをやめ、故郷に戻り、実家の豆腐屋を継ぐ事に。ある日、店の前を通りかかった女乞食が、お腹が空いたのでそのおからをわけて欲しいと頼んでくる。ふと、その女の顔を見ると、自分を振った千早だった。絶対お前にはわけてやらん!と拒否し、揉み合っているうち、千早は井戸へどぼーん。」というストーリーに変化(へんげ)するお話。
歌の最後の「とは」は、「千早の本名」でいっ!。なんや〜、文句あっかい!ってな感じで締め括り。
歌の意味を尋ねに来た男と、「世の中に知らん事はない!」と豪語した手前、知らないと言えない男のやりとりがなんとも面白いお話。
名句が迷句に

話が進むにつれ、ボケとツッコミがいつの間にか入れ替わる様も、なかなかどうして

続く。。。
ちなみに、私の好きな句は。。。
「忍ぶれど 色に出にけり わが恋は 物や思ふと 人の問うまで」。(平兼盛)