
大安の本日。
日本時間AM5時12分:ロシアのソユーズが、宇宙に向けて出発

古川聡さん達、日米露3人の宇宙飛行士を乗せたロケットが、バイコヌール宇宙基地を飛び立ちました。
宇宙服に身を包んで、周りに手を振りながらロケットに乗り込む宇宙飛行士さんの姿って、精悍でカッコイイですし、カウントダウンに合わせて轟音と閃光の中、出発するロケットは大迫力です

という事で、「はやぶさ」の講義と映画のレポをUP!。
映画:「はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH」の鑑賞直前。
講演:「はやぶさから教わったこと、君たちに伝えたいこと」を聴講してきました。

講師は「JAXA」の細田聡史氏。
【はやぶさの任務】
現代において、46億年前の太陽系誕生時物質について知る事が可能なのは小惑星であり、もし、その小惑星からサンプルを持ち帰る事ができれば、「惑星や小惑星の構成物」や「惑星誕生時の太陽系星雲内の様子」等の詳細を知る為の一歩が踏み出せる。
だが、現時点で人類がサンプルを採取したことのある地球以外の天体は、月のみ。
人類史上初の挑戦である、
−小惑星からサンプルを採取して地球に戻ってくる事−
この前人未踏の試みに挑戦したのが「はやぶさ」である。
「はやぶさ(MUSES-C)」のミッションは、近地球型とよばれる小惑星「イトカワ」から、小惑星の表面の物質(サンプル)を地球に持ち帰る(サンプル・リターン)事。
2003年5月9日:小惑星探査機「はやぶさ」は、「イトカワ」に向けて出発。
だが、本体わずか1m×1.6m×1.1mの小さな体は、数々の困難に直面し、本来のミッション完了予定の2007年夏が来ても地球に戻って来られない「はやぶさ」。
3年が経ち。。。遂に「はやぶさ」は帰ってきた!。
2010年6月13日:イトカワのサンプルを地球に届けるというミッションを見事成功させ、自らは流星となって「はやぶさ」は地球に帰ってきた!。
【はやぶさ地球帰還までの道程】
「はやぶさ」は、M−Vロケット5号機。
2003年5月 9日:鹿児島宇宙観測所より打上げ。
2004年5月19日:イトカワに向けて旅立つ。
同 年7月29日:イトカワの撮影に成功。
9月12日:イトカワに到着。
2005年8月 :地球との通信ができなくなり、行方不明になる。
2006年1月 :地球との通信が復活。
2007年1月 :イトカワの成分の入ったカプセルを回収し、同年4月地球への帰還に向けて出発。
2010年6月13日:地球に帰還(自らは消滅)。カプセルを地球に届ける任務を見事に遂行。
〜日本の宇宙開発について。〜
実は、日本には、ライト兄弟よりも早い時期に航空機開発に着手した人物がいました!。
その人物の名前は、二宮忠八。
ライト兄弟が有人飛行に成功したのが1903年。
その12年も前の1891年4月29日、二宮忠八は、香川県の丸亀練兵場で、飛行距離10mながらも、プロペラ飛行実験を成功させていたのです(但し、有人ではなく模型飛行機での実験)。
この事実が世界に公開されていたとしたら。。。教科書に載るのは日本人だったのかもしれません

日本の本格的な宇宙開発は、1955年で、糸川英夫氏による、ペンシルロケット(23p・200g)を飛ばす実験が始まりです。
1970年、世界で4番目に「おおすみ」を自力で打上げますが、半日で電波が尽きてしまいます。
1985年、ハレー彗星が地球に接近した年、「さきがけ」が初めて重力の壁を突破して宇宙へ旅立ちます。
2003年、「さきがけ」の後継として、且つ、新たな任務を持って「はやぶさ」が出発しました。
ちなみに。。。はやぶさが向かったのは…。
水 金 地ここ火 木 土 天 海(冥)
尚、「はやぶさ」が「イトカワ」から採取し、地球へ投下した「カプセル」は、オールトラリアのウーメラにて回収されましたが、実は、回収中、オーストラリアの検疫官の方達は、「中からエイリアンが出て来ないか?!

そりゃあ、ありえますよね。もし、出てきたら。。。それこそ異星人来地

ちなみに、カプセル回収中、火薬が爆発した場合に備え防護服を着ていますが、防護服の下はジーパンだったとか:笑。
〜月について。〜
人類が採取できたのは、「月の石」で、これらは、アポロ計画や南極で手に入れました。
「地球」から「月」までの距離は、およそ38万q。
「月」の直径は、およそ3,500q。
では、〔月は地球のどの位の大きさ〕でしょう?。
答えは、地球の直径が、およそ12,700qなので、〔4分の1〕の大きさです。
〜地球と宇宙の距離。〜
NASAの定義では、地球から宇宙までの距離は100q。オゾン層までは50qです。
香川県の丸亀からだと、愛媛県の松山までの距離とほぼ同じ。
四国内を移動する


〜小惑星:イトカワについて。〜
大きさは、535m×294m×209m(丸亀城位の大きさ)。
重力は、地球の10分の1。
人間がイトカワの上ででくしゃみをしたら、ポーンと飛んでっちゃうそうです:笑。
多くのクレーターがあると想像されていましたが、「はやぶさ」が撮った写真から、実際の表面はデコボコである事や、砂状の星だとの予測でしたが、固い岩石の集まりの星だという事もわかりました

〜イオンエンジンについて。〜
IES(Ion Engine System)。
往復飛行を可能にする為、
・高燃費エンジン、・宇宙航行ナビ、・無重力削屈機械等を搭載した「はやぶさ」。
もちろん、翼はどんな状態でも絶対に動くように設計してあります。
イオンエンジンは、高燃費の技術を開発(←世界初の試み)。
積んでいるガスを勢いよく吹き出すことで力を得て飛び出す仕組で、電極を無くした炭素(カーボン)を使用する方法を採用。
このカーボンは、香川県の東洋炭素さん製造

71トンの燃料を51秒で燃やし、1円玉を手に乗せるくらいの強さで、噴射は超高速(3年間の噴射で8000q/hの加速:高燃費)の秒速30q(東京から大阪間を約15秒で移動する速度)。
エネルギーは電気のみで、その電気は、太陽さえ当たっていれば製造されます。
さらに、スイングバイ、自律航行、サンプル採取機能を装備しています。
〜サンプルの入ったカプセルについて。〜
カプセルは、時速4万qで動く設計です。
そのカプセルをはやぶさは、地球からの距離6万4千qの場所から、地球に向かって投げました。
つまり、野球のボールの縫い目1個分(1.4mm)のコントロール精度で投げた事になるのです。
〜カプセル放出から地球まで〜
5q(着地点誤差)/64,000q
〜野球の場合(ホームからピッチャーまで)〜
35mm(ボール半分)/18.44m
〜「はやぶさ」のミッションの為に。〜
はやぶさとは、光を使っての交信。地球からコマンド入力して指示を出し、指示を受けたはやぶさから応えが返ってくる。この繰り返しです。
ですが、最速の光を使ってもコマンドの結果がわかるのは30〜40分以上後になるんだそうです

コマンド指示の担当者は4人で、二交替制。さらに日々変化する距離等を計算可能な人物はたった1名。
苛酷な作業に従事しながらも、常に、自分自身の体調管理に気を使いながら、作業なさったそうです。
二交替制だったという部分に、大変だな〜との印象が強かったので、ちょっと余談を。
先般放送のNHKのTSHの「防人リサーチ」。
防人も4人で2交替制の苛酷な作業。
労役を免除されるも、国の仕事なので無報酬。
しかも、誤報すると捕まり死刑になる事もあったそうです。
ちなみに、防人の仕事は、海を走る船が百済や新羅の船なのか海賊船なのかを判断してのろしをあげる事。
貿易船ならのろしは1本。海賊船ならのろしは2本。こののろしによって、国はもてなし若しくは出兵の準備をしたんだそうです。
話を戻して。。。
なにぶん、出発してしまえば、宇宙という人間の手の届かない場所で任務を遂行するはやぶさ。
どんな状況にも対応できるシステムの構築が必要です。
「はやぶさ」設計にあたっては、壊れても影響が出ないように、壊れても最低限は動くように!と、どうなると致命的になるかを考え、その致命的な状況に対応できるように物を作っていき。。。
世界初の試み成功の為、道を切り開くのは自分達であるから、
・「出来ない理由は考えず、出来る方法を探す。」。
・「最優先すべき絶対事項を適格に見つけ、すぐに対応・対処する。」。
・「幅広く意見を聴き、良いものはどんどん取り入れる。」。
事等を実戦しながら進めていったそうです。
〜未来に向けて。〜
「小惑星まで行きサンプルを採取し戻ってくる」という世界初の偉業を成し遂げた「はやぶさ」と「日本」。
今回、世界初の技術を開発し成功した事で、日本が開発したイオンエンジンが商用化されました

日本のロケットに、アメリカのエンジンが搭載されていた状況が一転、アメリカのロケットに日本のエンジンが搭載されるようになるんだそうです。
又、国際協力と言えども、日本側に何らかの武器が無ければ、外国からの協力は得られなかった原状を打破し、諸外国と対等の立場で話せるようになったとの事。
(お話を伺いながら、世の中厳しい〜

次なる目標は、イオンエンジンだけで、木星まで行くことや、気象衛星にイオンエンジンを使えるようにする事等で、現在様々なプロジェクトが進行中

宇宙の研究について、日本は、ハイリスクハイリターンな考え方だそうで、見事ハイリターンを勝ち得た日本

すごいぞ!日本!。やったね!日本!。
☆世界の厳しい現実の中、様々な開発に携わり、新たな世界を見せてくれる方達に感謝☆。
これらをふまえながら、映画を鑑賞

地球から見ると瞬いている星は、宇宙で見ると瞬かず輝いたままなんだそうです。
全ての命は、地球という大気に守られたゆりかごの中で、喜怒哀楽や生き死に、を繰り返している。
人生って長いようで短いし、普段の出来事なんて、宇宙全体から見ると、すご〜くちっちゃい事なんだなぁ、とちょっと元気がでてきました

それなのに

大きな力が守ってくれている「ゆりかご」の外の世界に飛び出して行こうとする人間達。
人間のこの行動って、地球や宇宙にとっては、ちっちゃな子供が家の外に行きたいよ〜ってアレコレ頑張ってる感じなのかな?。それならば、母なる地球って表現がピッタリだと思いました。
「水星、金星、地球、火星」の4つを「地球型又は岩石惑星」と呼び、「木星、土星」は「ガス状惑星」、「天王星、海王星」は「氷惑星」である事を、おさらいして。
地球は、宇宙が誕生した時にあった星達が朽ち、それらが集まり一つになって、燃えて冷え固まって誕生した岩石でできている惑星だそうで。
でもって、冷えて固まっちゃったから成分が変わっちゃっているので、地球のようなこれらの惑星では無く、小さいまんまで燃える事も無く、おそらく46億年前の太陽系誕生の謎を解く鍵を持っているであろう小惑星イトカワを「はやぶさ」は、探る必要があったのです。
【スイングバイ】とは、「地球を出発して1年後、はやぶさが地球に追い抜かれる際の力を利用してイトカワに向かう軌道に乗せる。つまり、地球がはやぶさの背中を押してやる。」事だと知り、なんだかほっこり

「はやぶさ」が撮ったイトカワの写真によって、砂のような物質の集まりだと想像していたイトカワは、実は岩でできていて、いくつかの小惑星が合体したものだった事が判明します。
予想外の岩状態に、やっと見つけた着陸可能地点「ミューゼスの海」に降り立とうとして、トラブルに見舞われた「はやぶさ」は、消息を絶ちます

彷徨いながらも、地球に「声」を送り、見つかった「はやぶさ」

再度、着陸を試みた「はやぶさ」は、イトカワの成分を回収したものの壊れてしまい、再び行方不明に

そして。。。再び、地球の呼び掛けに応えた「はやぶさ」。
2度通信が途絶えたはやぶさでしたが、彼は、広い宇宙の中でたった一人で自らの声を地球に届け、地球と繋がりました。
繋がった地球と宇宙のはやぶさの強い絆が、無事任務を果たしたのです

「はやぶさ」が二度目に発見された時、彼のデータ記録を解析すると…。
傷つき壊れた体にも関わらず、何度も何度も体勢を立て直そうと一人で頑張った形跡があったそうです。
実は、はやぶさがイトカワへの着陸点をマーキングする為、ミューゼスの海に投下したターゲットマーカーには、149カ国、88万人の名前が書いてあり、はやぶさの任務には、それだけの人々の想いが込もっていたんです。
その「想い」を背負い、地球で見守っているJAXAや様々な方達の想いを乗せて、夢を叶えるために、飛んだ「はやぶさ」。。。
たった一人、誰も助けてくれない、誰にも声が届かない、誰の声も聞こえない中で、奮闘した「はやぶさ」の過ごした時間を想像しただけでも、涙が溢れてきます(T_T)。
ほんとに、よく頑張った!

次々映る、もうすぐ帰ってくるはやぶさへのメッセージの一つ…。
「俺がしっかり受けとめてやる!。」の文字に、泣いてしまいました…。
お帰り、よく頑張ったね。そして、ありがとう、「はやぶさ」。
〔映画鑑賞時にいただいたカレンダーの写真〕

この写真には、こんなお話があります。
「はやぶさ」のミッションは、「カプセル分離」を行う事で完了します。
カプセルは予定通り分離され、後は地球に到着したカプセルを回収するだけになりました。
つまり、はやぶさのミッションは、カプセルを切り離した時点で全て終わっていたのです。
ですが、カプセルを離した「はやぶさ」に、JAXAは、もう一の命令をはやぶさに与えました。
「地球を撮影して写真を送れ。」
ぼろぼろになって力尽きる寸前状態であるのに、はやぶさは、命令に従いました。
力を振り絞って、地球に向けてシャッターを押しました。
この写真は、その時のものです。
ミッションを課した技術者の方が、言ったそうです。
「最期に、はやぶさに地球を見せたかったんだ。」と。
JAXAの方が、「「はやぶさが最期に見た地球の映像」と「はやぶさに最後に見せたかった映像」の両方を見せてくれました。
そして、おっしゃいました。
『この2つは、2つがペアであって一つなんだと思う』と。
又、はやぶさが流星になって、カプセルの後から続いて飛びながら燃え尽きる様子を撮った方は、記録する事が仕事の為(描く軌道からどこにカプセルが落ちたかを計算する必要があった為)、ずっとファインダー越しにはやぶさとカプセルを見ていたそうです。「本当は肉眼で見たかったと思います。」の講師の方の言葉に再び涙。。。
深い愛情で、お互いに繋がっていた「はやぶさ」と「はやぶさを飛ばした方々」。
行方不明になった時も、「どこだい?」「ここです。見つけてください。」と想いの交信は、きっとあったはずです。
だからこそ、広い宇宙で2度も行方不明になっても、見つける事ができたんだと…。
すこ〜し、はやぶさ最期の写真がブレているのは、はやぶさの目に浮かんだ涙のせいで、本当は、はやぶさの目には、はっきりとした輪郭で懐かしい地球の姿が見えていたんじゃないか?また、そうであって欲しいと思う私なのです。
なんだか、想像する度、ぼろぼろ涙がこぼれてくるんですけど。。。
これって、感動の涙でいいんですよね?。。。。