2012年07月11日

舞台:「薮原検校」ー参ー♪。

平成24年7月11日(水)晴れ

舞台:「薮原検校」ー弐ー♪。の続き。

《見所4》は、キャスト設定。

ずっと同じ役の萬斎さんと浅野さん以外は、皆さん何役も演じてらっしゃるこの舞台。

演じるキャスト構成が面白い。

・秋山さん演じるお市。
殺されても殺されても死なないゾンビのようなお市。
愛しい杉の市と添い遂げるため、息絶える時には、杉の市を道連れ。
(女の執念って怖い((゚Д゚ll)))。

・山内圭哉さん演じる仙台座頭:熊の市・佐久間検校・ごろつきの倉吉。
杉の市の父親七兵衛に殺される熊の市。
彼が命乞いをする時に歌うのが「かねはふね」。
〜かねはふね 浮き世の波を渡るふね かねははね 出世の階段登るはね…〜
七兵衛に「死んでもらおうか?」と言われ「死にたくない」と答える熊の市。
七兵衛「死なないと殺さなきゃならねえぜ」。
熊の市「わかった、死ぬから殺さないでくれ」。
七兵衛「わかった、殺さないから死ね」。
熊の市「へへーっ。ってどっちも同じじゃありませんか」。って(はよ、気付けよ:笑)。
と、殺され、金を奪われる。
次は、佐久間検校として現れ、琴の市と杉の市が奥浄瑠璃と早物語で稼いだ金を取りあげる。
(敵討ち:笑)。
続いては、杉の市の悪行仲間の倉吉として登場し、杉の市の師匠:薮原検校殺しを請け負う。
師匠殺しの状況は、町奉行所定廻同心浅野某の報告書を盲太夫が読み上げるのに合わせて杉の市・倉吉・薮原検校役の3人が演じる。
浅野某による報告書【現場に居合わせケガをした杉の市によると、師匠は、部屋に忍び込んできた倉吉に殺され、師匠の悲鳴を聞いて駆け付けた杉の市は、倉吉に襲われながらも彼の心臓を針で突いてやっつけた。そして、助けを呼ぶために杉の市は声をあげた。師匠の叫び声以外は私の助けを呼ぶ声だけが響き渡ったとの事。
よって、杉の市の正当防衛を認める。以上。】

だが。。。そこには嘘があった。
修羅場では、他に「二言の言葉」が発せられていたのだ。
(ここで、キュルキュルという巻き戻しの音と共に巻き戻しの演技で、藪原検校が殺される前の状態に戻る。)
倉吉は、杉の市に斬りつける時、「本当に斬りつけていいのかい?。」と尋ね、杉の市は、「かまわない。ただし、ちょっとだけよ。」と答えていたのだ(←萬斎さん版、カトちゃん!。)。
「皆さん、ほんの一言、二言だからと、言葉を軽く考えるのは禁物です。
その一言二言が、とても重要な意味を持つ事があるのです。」
の盲太夫の言葉、御意っす!。

・たかお鷹さん演じる塩釜座頭:琴の市・初代藪原検校。
杉の市の最初の師匠として殺され、次の師匠としてまた殺される。(お気の毒…。)

・小日向文世さん演じる七兵衛・お志保の男・塙保己市・首斬り役人。
小日向さん演じる七兵衛は、産まれたての杉の市の愛らしさを子守唄にして真剣に歌っている熊谷真実さん(お志保)の横で、魚をさばいている。
作り物の魚を手で振ってプルプルさせてから、まな板にぶつけてしめて、開く動作の繰り返し。
この動き、実は、とっても静かに、けれど、段々エスカレートしている:爆。
生鑑賞の良い所は、場面の主となっている人以外も皆さん役に入ったまま色々演じているのを観られる事。
小日向さんの、魚開くぞアクションに気付く人達がどんどん増え、クスクス笑いが響く中、最後に籠からとりだすは、めっちゃ大きい魚〜。
小日向さん、身体全体を使って魚をプルプルさせてから…、ぶつける場所はなんと傍らの黒子さんの頭どんっ(衝撃)
数回、バシバシやられた黒子さん、小日向さんから受け取った大きな魚を思いっきり舞台袖へ投げ飛ばしていた。(ストレス解消?笑)。
犯した罪の因縁に自害する七兵衛。
次に、小日向さんは、杉の市の為に身体を売ってお金を稼いでいるお志保の上得意さんとして現れる。
(生まれかわっても(?)やっぱり奥さんの身体が良いのね:爆。)
続いて演じるのは、自らを律し学を修めながら検校を目指している塙保己市。
保己市は、自分より地位の低い杉の市に小馬鹿にされる。
又、好物の魚を食すと散らかしてしまうので、綺麗に食べる事のできるそんなに好きでもない里芋を、いつも食べている保己市。その保己市が食べている里芋を、こっそり全部食べてしまう杉の市。
食べ物の恨みは恐いと言うも、二代目薮原検校襲名直前、国の平穏の為のスケープゴートとして杉の市の処刑を勧めたのは、塙保己市。
しかも、処刑方法は三段斬りという残忍なもの。
刑の執行日。。。
小日向さんは、首斬り役人として現れ、杉の市の処刑を行う…(保己市、恐い。聖人ぶってるのに、しっかりやりかえしてる。)。

ちなみに、保己市の「晴眼者は帳面に書き留め帳面に覚えさせるので頭はからっぽ。だが、盲人には帳面は使えないのでひとつひとつの事項を頭の中にしっかりと書きつけておかねばならない。だからわれわれの頭の中は心憶えでいっぱいで、その心憶えをすぐに使いこなすことが出来る」という言葉に、成程exclamation

〜塙保己市と盲太夫の知識対決歌〜
春の花見に潮干狩り 夏の花火に蛍狩
秋の月見に紅葉狩り 冬の雪見に兎狩
その他時候と場所問わず。
掃溜見物 江戸の町。
江戸城見物丸の内 唐人見物八重洲河岸 忍者見物半蔵門 国会見物永田町
悪人見物小伝馬町 芝居見物木挽町 喰い物見物浮世小路 陰部見物床の中
白魚見物佃島 白雲なびく駿河台 火事の見物広小路 女子大見物お茶の水
お墓見物谷中道 桜見物飛鳥山 見物の多き江戸の町 見物するうち時は経ち。。。

一ヶ所づつ、よどみなく互いに江戸の見所を言い合う二人の緊迫感に、聞いてるこちらも力が入る。凄い!。

保己市によると、晴眼者は目が見える分、時間を無駄遣いする事がある。
一方、盲は夢位しか見えない。その夢も睡眠をとりながらなので非常に合理的、なのだそう。

《見所5》は、演出の妙。

琴の市と杉の市が、語りで儲けた売上を、佐久間検校に奪い取られて大騒ぎの場面。
舞台上の丁々発止の最中、横から入る解説担当の盲太夫による状況及び言葉の説明の注釈。
盲太夫が「注の1」、「注の2」と声を掛ける度、舞台上はピタッと静止。
どんな恰好をしていてもピタッと止まっている。
(浅野さん、噛んじゃった時があって、その時は、止まっている方達、ふるふるしながら笑ってた。)
で、自分が喋っている時に、何度も盲大夫による「注釈」が入り、しょっちゅう台詞の止まる佐久間検校が、段々イライラしてきたり(^m^ )。
さらには。。。
登場人物が「ここでガツッ!と大声で台詞を言いたいぞ!。」な場面で、その人の代わりに、ガツッと台詞を発しちゃう盲太夫。
「え?そこもってく?」状態の舞台上も面白い♪。

下ネタにお金等、口にするのが憚られるような事ばかり書いてきたが、ここに登場する人物達はみんな「生きる」事に一生懸命。
道を踏み外してしまう者もいるが、大きな足枷を背負ってもなお、逞しく生きる姿に勇気づけられる。

全てが見所、聞き所のこの本を書いた、井上ひさし氏に感服!。

下世話な世俗が八割、二割に高尚な芸事や訓話が組み込んであるこの話。
上手い役者さん達のおかげで、鑑賞後は心地好い。
抜群のギター演奏に効果音と照明。随所にある「歌」達も話を盛り上げる。

「読み終えて楽しく明るい気持ちになる作品」をコンセプトになさっていた井上ひさしさんの思いをしっかり受けてての舞台だと思った。

最強・最高のエンターテイメントな舞台だったかわいい

小日向さんも浅野さんも熊谷さんも、歌、上手かった〜。
でもって、萬斎さん、超ステキだったハートたち(複数ハート)
三列目での初鑑賞時(二公演観た。)、間近で目が合いまくった(と思っている)時、涼やかな眼差しにKnockout(//△//)。
ドキドキキュンキュンして何がなんだか(←おいっ!)。
普通にじっとしているだけでもかっこいいのに、伝統芸能も現代劇も、さらには大御所のお笑いさんレベルの笑いを提供できるんだもん。モテモテさんなんだろうな〜ぴかぴか(新しい)


posted by みぃみ at 16:55| Comment(4) | TrackBack(0) | 映画・舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
面白かったね〜。
真の悪人は保己市なのでは?と思ったよ。
ラストは結構キツかったね。無表情な首斬り役人の小日向さんにゾッとした。
萬斎さんは、多才だわっ!。18歳〜28歳を普通に演じられる46歳は、貴重だよ。
丸刈り姿も似合っていたね。美しい人は何しても綺麗なんだと実感(笑)。
Posted by 舞 at 2012年07月12日 02:06
舞>おはよ〜♪。
今回も(笑)、小日向さん、怖かったね〜。
しゃべり方もお顔も身のこなしも柔和な分、迫力が増すって感じ。

萬斎さん、もう46歳なのね。
若々しいよね(^^)。
そうそう!、あれ地毛だよね?。普通に小坊主に見えたよ。
かっこいいし、上手だし、行って良かった〜(幸せ☆)。
Posted by みぃみ at 2012年07月12日 10:46
こんばんは〜〜♪
素晴らしい舞台だったのね〜。一気に読ませていただきました。
しかもそんな前の席だったら、迫力も違うでしょうね。

内容もあまりにも深く、盛りだくさんで読んでるだけでお腹いっぱい感。。。これを生で観たら、すご〜〜く疲れそう・・・(もちろん心地よい疲労ね)
盲目の世界って良く分からないけれど、目以外の感覚が本当に鋭いのだろうなぁと思う。余計なもの見えなくていいねって思われがちだけどその分生き難いと思うな。
最初の方に、海へ導いて溺死させる・・・っていうとこ読んで、なんて哀しいのだろう。と思った。

ところで、私のブロガー友達に萬斎さん大ファンの方がいて、前はよく萬斎さんの話をしていたの。この舞台知ってるのかなぁ〜今度聞いてみようっと。
Posted by マリー at 2012年07月13日 00:52
マリーさん>こんにちは♪。コメント、ありがとうございます。
長々書いたものを読んでいただき、ありがとうございます。
(お腹いっぱいにしてしまって、すみませんm(_ _)m。)

実際は、書いたのプラス3分の1程の見所があるので、
鑑賞中、2度共、同じ場面で寝ていました(−ρ−)...ぐ〜。
3時間も集中力持たないです(爆)。
最初にとった公演がかなり後方で、
別日に3列目を見つけて、2度の鑑賞を決めました。
「後方席の日に話の理解、前方席の時に役者を愛でる」で、観ました(^^)。

上演前、会場内が真っ暗闇になった数分でも、不安になったので、
目が見えないって、本当に大変だと思います。
なので、その人達の保護の為に「座頭」というシステムを政府が作って
生活できるようにしたようです。
でも、奥浄瑠璃語ったから衣食住頂戴!と言われても、
晴眼者の側も食べ物が足りなかったら困りますよね。
どちらの気持ちを推測しても、冒頭の話は哀しかったです。
そして、座頭は、お金を積めば出世ができて、一番高い身分が検校なんだそうです。
検校まで昇らなくても13人ぶちの配当がもらえる身分もあるらしく、
生活を楽にしたい盲人にとって「お金」はとても大切なものだったようです。
(なので、「お金」がしょっちゅうでてくるみたいです。)

辛気くさい話(爆)を、上手い演出と演技のおかげで、満喫させてもらいました♪。

マリーさんのブロガーお友達さんに萬斎さんファンの方、いらっしゃるのですね(^^)。
東京・大阪・新潟と公演したようなのでご覧になっているかも☆。
ぜひぜひ萬斎さん話にも花を咲かせてくださいませ〜。
Posted by みぃみ at 2012年07月13日 10:19
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