2015年02月13日

舞台:「プルートゥ PLUTO」(内容編)♪。

平成27年2月13日(金)晴れ

舞台:「プルートゥ PLUTO」。
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演出・振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ
原   作:浦沢直樹×手塚治虫
出   演:
森山未來(アトム)
永作博美(アトムの妹:ウラン/ゲジヒトの妻:ヘレナ)
柄本明(アトムの生みの親:天馬博士/初めて人間を殺したロボット・ブラウ1589)
吉見一豊(お茶の水博士/クマのぬいぐるみの姿の最高の人工知能:Dr.ルーズベルト)
松重豊(天才科学者:アブラー)
寺脇康文(ゲジヒト)
上月一臣・ 原田みのる・池島優・ 大宮大奨・ 渋谷亘宏
鈴木竜・AYUMI
ストーリー:
人間とロボットが共存する時代、大量破壊兵器になり得るロボット5体とロボットに関わる人間達が殺害される事件が発生。
高性能ロボットの刑事ゲジヒト(寺脇康文)は、犯人の標的が、自身を含めた7体の大量破壊兵器となり得るロボット達だと確信し、生き残っているもう1体である限りなく人間に近い存在のロボット:アトム(森山未來)と共に謎を追うことにする。
ゲジヒトは日々、忌まわしい悪夢に苛まれ、妻ヘレナ(永作博美)も彼の不調を感じ不安を隠せない。
アトムもまた、お茶の水博士(吉見一豊)に愛情豊かに育てられながらも、自身の生みの親である天馬博士(柄本 明)との複雑な関係がその心に影を落としている。
葛藤を抱えながらも事件の解決に向けて尽力するアトムとゲジヒトであった。
時を同じくして、アトムの妹で人間の感情を察知する能力を持つウラン(永作博美/2役)が、廃墟の壁に花畑の絵を描く不思議な男と出会う。そこにアトムが駆け付けると、男に異変が起こり……。
内戦で家族を失った世界最高峰の頭脳を持つ科学者アブラー(松重 豊)、人間を殺害した唯一のロボット、ブラウ1589との接触により核心に迫っていくゲジヒトとアトムは…。

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大量破壊兵器を所持している危険な国として、トラキア合衆国主導のもと、攻め込まれたペルシア共和国。
焼け野原になったペルシア共和国を捜索するも大量破壊兵器は発見できず、月日は経ち、今回殺された5体のロボットと人間達は、アトムとゲジヒト同様ペルシア侵攻に関わっていた。
首謀者は、先の侵攻で愛する息子と自身の首から下以外を失ったペルシア共和国のアブラー博士。
黒幕は、自らの勢力の拡大を目論むトラキア合衆国大統領アレキサンダーとそのブレーンコンピューターDr.ルーズベルトだった。
事件を追ううち、ゲジヒト(ロボット)は、変質者(人間)に息子(ロボット)を殺され、その報復の為、変質者を殺害しており、殺人の記憶は、人間によって抹消されていた事を知る。
罪の意識に苛まれながら、ロボットを殺した巨大ロボットプルートゥを追い詰めるゲジヒトだが、ロボットを破壊するという行為に傷付き、悩むプルートゥにトドメを刺せない。
プルートゥを操っている人物を探すため、アブラー博士と会ったゲジヒトは、道端で花を売っていたロボットからクラスター砲を撃たれて、死亡。
ゲジヒトの死を知った妻ヘレナは夫との日々の記録を消そうとする。
一方、アトムは、ウランの助けたロボットに攻撃されて死亡。
アトムの復活を願うお茶の水博士は、アトムの生みの親である天馬博士に助けを求める。
天馬博士の尽力により、アトムは復活するも、そのプログラムはゲジヒトを殺した相手への憎しみに満ちていた。

危険な装備を持つ国を、世界平和を守る為に、壊滅に追い込む。
正義の名のもとに平和の為に行った行為が、攻め込まれた国に住む多くの人々の命を奪い、家族や肉体を失った生き残った者達の心に、大切なものを奪った相手への憎しみが生まれる。
ゲジヒトを殺した花売りロボットは、先の侵攻で傷付いたロボットであり、ゲジヒトが侵攻に関係していた事を知り、報復したのだ。侵攻関係者と知らない時は、無邪気で未来に希望を持っていた愛らしい花売りロボットだったのに…。こんなにも無慈悲になれるなんて…。
アブラー博士も然り。攻めてきたトラキア合衆国との戦いに向かった息子のサハドは戦死。その憎しみから世界全体を壊そうとする。
「憎しみの連鎖は何も生まず、破壊すら招く」。

切ない…。
平成20年に聴講した大野元裕さんの講義。
http://mitsuhibinikki.seesaa.net/article/98530637.html
イラクでは、イラン・イラク戦争から、今回のイラク紛争、その後の治安の悪化を含めると、26年間も混乱の状況が続いています。
かつて、イラクには、孤児院は、ほどんど無かったそうです。
なぜなら、イラクでは、部族意識が極めて強く、親を亡くした子がいれば部族の中で養うという考えで、孤児院に入れたりすると、その部族は周囲から非難を受けるほどだったそうです。
でも、前述のように、生活が極めて苦しくなり、子供を引き取ることができなくなる社会状況になってしまい、どこにも行くことができない子供達が大勢いるそうです。
何十年も続く混乱の中で育っていく子供達やその国の方々の心の傷は、はかりしれないものです。と大野さんはおっしゃっていました(当時のレポを抜粋)。
そして、行くあての無い孤児達は、その行いが正しいと信じたまま、他の多くの命を巻き添えにして自分も死んでしまう行為を実行してしまう事もあるそうです。

天馬博士の言った「人間もロボットも一度死んでしまったら、二度と生き返らない。例え生き返る(再製造)事があっても、それは全く別のもの」の言葉は心が痛かった。
ロボットなら作り直せばいいのでは?と安易に考えてしまった自分がいたから。

ロボットも達も進化したゆえ苦しんでいた。
人間の指示通りにやった事は果たして正しいのか。
記録は抹消できても、記憶がふとした瞬間甦る。
消してしまいたい記録がどうしても自分の中に残ってしまう。

夫ゲジヒトを失ったヘレナは夫の記録を消そうとするもどうしても消し去れず苦しみ天馬博士に助言を求める。
「こういう時、人間はどうするのですか?」と。
「人間は泣きます。泣いたってどうなるわけでもありませんが、泣きます。そうすれば少しは気がおさまるのです。ロボットは泣けませんが、泣いてる真似だけでもしてみるといい、真似しているうち落ちつくかもしれない」と博士は答え。。。
「あーー、うーー」「あーー、うぅぅ」と人間の泣く姿を真似しながら夫を失った悲しみから立ち直ろうとするヘレンに涙がでてきた。
「感情がある」という事は、幸せなことなのだと思った。

ゲジヒトを殺された憎しみに満ちているアトムはプルートゥと戦い、トドメを刺そうとした瞬間、ゲジヒトがプルートゥ撃破を思いとどまった記録がアトムの心を駆け抜け、初めてゲジヒトがアトムと会った時、道のまん中にいたかたつむりを轢かれない場所に移動してあげるというゲジヒトが見たアトムの優しい気持ちの記録(記憶)が、アトムの頭の中に甦る。

プルートゥも然り。。。
元はサハドという花で国を満たしたいと思っていたロボットだったプルートゥ。
その記憶を、思い出しもう殺戮はイヤだと逃げ出したプルートゥ。
逃げ出したプルートゥを救ったのはウラン。
プルートゥは、自分を助けてくれたウランの大切なお兄ちゃんであるアトムを助ける事に。

プルートゥを助けた事でアトムを失った事を悔いていたウランにお茶の水博士の言った
「お前の優しさを悔いるような事はしないで欲しい」という言葉。

ウランのアトムのサハドの優しい気持ちがみんなを救う。

憎しみの連鎖にうち勝ったゲジヒトとアトム。
ヘレナの心に憎しみを生まないように嘘をつけないロボットのアトムがついた嘘。
その優しい嘘に気付くヘレナ。

じーーん…とした。


優しい想いの満ちた憎しみの生まれない世の中になるといいな☆。
posted by みぃみ at 16:30| Comment(0) | TrackBack(1) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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アトムたちを表現
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Tracked: 2015-04-20 09:55