平成24年9月20日(木)
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舞台:
「ヘドウィグ・アンド・アグリーインチ」 。
VIDEO [劇作・脚本]ジョン・キャメロン・ミッチェル [作詞・作曲]スティーヴン・トラスク [演 出]大根仁(上演台本) [翻 訳]スガシカオ(訳詞) [出 演]森山未來(ヘドウィグ) / 後藤まりこ(イツァーク) [ストーリー] おそらく約30年ぐらい先の未来。福島第一原発から20q圏内が“原発スラム”化し、アウトサイダーたちの住処になっていた。水商売をする母と原発作業員の父との間に生まれたヘドウィグは“原発二世”。少年の頃から父に少々性的な手ほどきを受け、教会で偶然会った牧師と恋仲に。牧師にプロポーズされたヘドウィグは、男性器の切除手術を受け、母親のパスポートを偽造して自分のものにし、20q圏内から初めて脱出する。でも1年後には牧師にフラれてひとりぼっちに。 その1年の間に“テロリストの巣窟”だとされた原発スラムは、米軍により爆破された。 廃墟となった故郷に再び戻ったヘドウィグは、かろうじて残っていたあの教会でトミーという若い青年と出会い、とうとう“自分のカタワレ”を見つける。ヘドウィグはトミーに音楽を教え、彼にノーシス(ギリシア語で知識)という名前を与えた。でもトミーはヘドウィグの股間の“怒りの1インチ(切り取られず残った男性器の一部分)”に触れて、ヘドウィグが放射能被ばくによる後遺症のある原発二世だと思いこみ、「ごめん、僕、無理だ」と言って彼のもとを去る。その後トミーはヘドウィグの楽曲を歌い、大スターになった。ヘドウィグの今のパートナーは同じく原発二世で男性器も女性器もないイツァーク。ヘドウィグは「今27歳だけど、自分の命はもう長くないのかも」という思いも抱きながら、ライブ・パフォーマンスを行っている。ヘドウィグは愛も恩も忘れてしまったトミーに恨みごとをつぶやくが、実のところトミーは…。 「新感線☆RX「五右衛門ロック」」 のマントをたなびかせる華麗なカルマ王子。
「髑髏城の七人」 の深い闇に堕ちた天魔王。
「モテキ」 の冴えない幸世君(運動神経は抜群)。
「フィッシュストーリー」のヒーロー男子と、毎回、色んな顔で魅せてくれる森山未來君。
彼が、ドラァグクイーンさながらの風貌でロックという音楽と共に波乱の人生を歩む役を演じるという事で、早々にチケットをゲット。
Zeppなんばへ行ってきた。
ライブハウスに整然と並んでいる椅子達に不思議な気持ちになりながら着席。
ステージでは、崩壊する直前のベルリンの壁さながらのスクリーンに、日本で起きた原発事故に関する記事が次々映っている。
13:00開演の合図があると、拍手が湧き起こり。。。
まさかの、お客さん達、総立ち!。
(ロックって銘打ってあるし、ライブハウスだから?と思い、起立。)
舞台鑑賞とライブ鑑賞、どちら側のスイッチを入れればいいのか分からず、戸惑う。
音楽に手拍子している周りの人々。
手拍子嫌いな私はやや引き気味。
(音楽家達の奏でる音を聞きに来ているのに、客側がそこにわざわざ雑音を入れるのかが、どうしてもわからない。)
そこへ何言ってるんだか判別不能。がなりたてて派手なだけパフォーマンスな声が乱入。
(一番嫌いなライブパターン。ゲッ。。。失敗した…と思った。)
下がりまくる気持ち。。。(ずっと続くようなら外に出よう。)
そして、天上から舞台へ繋がるポールをつたい、森山未來、降臨!。
身体のラインくっきりのミニワンピースに10センチ以上のハイヒール、盛り盛りの髪。
筋肉質の腕。スラッとした御足。細面のお顔。
ジュディオングばりのマントをがばっと開き、開口一番。
「私は天国と地獄の間の新しい壁なの。」と。
アダムからイヴが生まれたように、本来人間は、男女・男男・女女で「一つ」だった。
引き裂かれたもう一つの自分と一つになる事を求めて、人は自分のかたわれ(愛する人)を探す。
この物語には、「壁」が沢山ある。
ヘドウィグの出生地は、原発事故で隔離された壁の中。
戸籍が無いため、行動範囲は壁の中限定。
壁の中、やっと見つけた「愛」(自分のかたわれ)。一緒に壁の外に出るには、戸籍が必要。
その為、性転換手術に挑むも1インチの男性が残ってしまうという壁。
そして、愛した相手にも捨てられる。
戻って来た壁の中、トミーという青年が真の自分の半身だと悟る。
トミーとヘドウィグ、かたわれ同士が一つに結ばれようとした時、悲劇が起こる。トミーは男でも女でもないヘドウィグを受け入れられない。
去っていったトミーは、ヘドウィグの命ともいえる音楽さえをも盗み、自分がスター街道を駆け上がっていく。世界にたった一つのかたわれと愛し合うことさえ叶わないという壁。
悲嘆にくれ、心の隙間を埋めるため、イツァークを求めるも拒絶されるヘドウィグ。
これら幾多の「壁」にぶち当たるヘドウィグの喜怒哀楽の人生が語られるストーリー。
高いヒール靴も無問題!。
激しいロックナンバーを歌い踊るヘドウィグ(未來)君。すご〜い。。。
何曲目かの時、こちら側に来て、じーっと見つめられた(と思う)時、見つめかえすのに精一杯だった:爆。
続いて、トーク。
ヘドウィグのライブMCになるのかな。
ヘドウィグが、壊れかけのラジオを拾ってロックと出会う場面。
ヘドウィグの徳永英明さんネタから、バンドの方が、壊れかけのレディオを唄い始めミラーボールまで回るのWWW。
風の谷のナウシカネタも有り。
大阪のご当地ネタは。。。
飛田新地に元町小学校すぐ近くにはラブホ街がある事に始まり…。
「NMB48に入っている若い女の子達は、48が48手だってわかってやってるのかしら?。ちなみに、私が好きなのは、松葉崩しからの帆かけ船」って未來君ってば、手で表現するんだもん。
あげく、ミニワンピの御足をご開帳。蛍光グリーンのパンティ(パンツ)の上から、彼のモノを触りながら「犯してっ。」って喘ぎ、マイク使ってFしてる様子までも披露。
ヘドウィグトークには、維○の会の○下氏までも登場し、鹿のかぶり物を纏い大事なところは…以下自粛。
どれだけ身体張るの!未來君…。。。と呆然。。。
でもね、これらは、未來君のかけた魔法。。。
オネエ言葉の未來ヘドウィグのエロさに、笑っているうち、舞台の世界へダイブしていた。
観ていたのは、森山未來が生み出したヘドウィグというロック歌手の人生だった。
いつの間にか、ヘドウィグのトミーのイツァークの生き様を、ロックなライブを、体感していた。
森山未來って、神様が今の時代に授けた芸術の申し子なのかも?って思った。
ほぼ一人喋りで、幼少期からのヘドウィグの人生を語り、トミーとヘドウィグの2役を対話形式でこなし、ヘビメタ、ゆるロック、キュートな曲、しっとり歌い上げる曲とあらゆるジャンルのを歌いながら踊る。
もちろん、演じながら…。
膨大な台詞に歌詞、オネエ言葉に少年言葉の使い分け、それだけでも大変だろうに。。。
客席を縦横無尽に駆け回り、ステージ横のでっかいスピーカーに登り、ジャーンプでおりるパフォーマンスまでみせてくれた。
チュチュスカートはいたヘドウィグと一緒にお客さんが歌うキュートな曲「Wig in a box」。
ヘドウィグ姐さんが「一緒に歌って」とおねだりしたら、速攻応じる客席:笑。
練習するのかな?って思ったら、「いくわよ〜」って。。。
「ん?」ってなった客席に気付いたらしく。。。
「あの、、、後ろに歌詞でてますんで。」(←ここ未來君だった:笑。)
♪ハデにメイクアップ 心もステップアップ いつものウィッグをかぶって 今日もメイクアップ 気持ちをクリーンアップ いつものウィッグ棚からだして・・・ 可愛いでしょ〜
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鍛え上げた肉体に派手な衣装をまとったオカマちゃんが、この曲歌っても様になるって、奇跡。
トミーとして歌うWicked little townは、男らしくも、とっても切なくて。。。
全ての鎧を外し、自分自身を生きる事を決めたヘドウィグが歌うMidnight radioは、それまで生きてきた人生とこれから歩もうとする道への想いが込められていて圧巻だった。
トミー及びトミー&ヘドウィグの融合体の時、未來君、上半身裸になるんだけど…。
外からは感じない(ぱっと見、ムキムキでは無いの意味)鍛え上げた筋肉が、内側からぐわわわって浮き上がる。
腹筋使って歌い上げる度に、未來君の身体の中を龍が昇ってくように見えた。
カテコの「マイウェイ」は、陽気でパワフル。
男だって女だって、どっちでもなくったって、いいじゃん。
今ここにあるのは自分自身、そして命の鼓動。
そのままのありのままの自分を生きていけばいい。
そう語りかけてくれているようで、心強かった。
でもって〜!。ダブルアンコールは。。。
「大阪千秋楽という手前勝手な理由でもう一曲歌います。
トミー・ノーシス版: Tear me down」(と、ここも、森山未來君:笑。)。
素晴らしかった〜。
トミーとヘドウィグが融合した最強のロックスターが魅せるアンコールだった。
舞台観に来ているのを忘れて、役者さんが演じている事も忘れて。。。
大好きなアーティストの音楽ライブのアンコール、上がって上がってテンションMAX〜と同じ状態に。
出演者全員と手を繋いでおじぎしている未來君、息ハァハァ。
お芝居も歌も全力投球。心と気持ちが入っている芸術は心に響く。
色んな「壁」を飛び越えていく未來君、最強!。
天性の才能で、「命」を吹き込んだ作品を魅せてくれる未來君、最高!
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鑑賞から3日経っても、余韻が脳に心に、ある。
ヘドウィグに恋しちゃったのかな?。
感情と理性の狭間で揺れ動きながら日々を生きる今。。。
超オススメの舞台
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SONG LISTは
こちらです 。