平成23年6月21日(火)
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「第十八回 上方落語を楽しむ会」レポ。
今回の番組は。。。
・寄席囃子あらかると−−−染丸・染弥・林家愛染・はやしや絹代
・通天閣に灯がともる−−−林家そめすけ(オリジナル)
・胴乱の幸助 −−−林家染弥
・船弁慶 −−−林家染丸
三味線 −−−はやしや絹代 各氏です。 寄席が始まる前に毎度賑やかな「寄席囃子についてのお話」が興味深かったので、レポ。
【大太鼓】【締太鼓】【拍子木】叩くコツは□部分。
ここを上手に合わせると良い音がします。
【当り鉦】【一番太鼓】開場時間になると鳴るお囃子。これが「一番太鼓」です。
打つのは前座さん。大太鼓を長バチで打ちます。
「大勢のお客様がいらっしゃいますように☆」と願いながら打ちます。
バチで最初に太鼓の縁をカラカラカラと叩くのは、木戸口が開く音を表しています。
木戸を開いたら。。。
どんどんどんと来い、ドンドンドントコイ、と打ちます。
「入れ込み太鼓」とも言います。
一番太鼓のクライマックスには、打ち上げた最後に、長バチを
〔入〕という字の形にして太鼓の表面を押さえます。
大入りになるようにとの縁起かつぎです。
【着到:二番太鼓】開演5分前に打つのが二番太鼓。別の呼び方で「着到(ちゃくとう)」とも言います。
「演者達が到着しました。お待たせしました、お客様。そろそろ開演します。」という合図の太鼓です。
二番太鼓には、締太鼓・大太鼓・能管(笛)が、加わります。
「お客さんよ、金持って来い。よっけ持って来い。」
お客様は福の神。福の神様が大勢さんいらっしゃるようにと、
おたふくこいこい、おたふくこい、かねもってこい、ステツクテンテン、ステツクテンテンと打ちます。
前座さんは、太鼓が必須。
太鼓が打てないようでは落語の世界にはいられません。
なぜって?。太鼓を打つリズム感は、落語の喋りのリズム(間)に通じるから。
上手に打てれば、出世は決まったも同然〜!。
【出囃子】落語家さんの登場の際、お囃子が鳴ります。
昔は、自分専用の出囃子を決めてもらえるのに10年位かかっていたそうです。
決めてくれるのは、お囃子さん達。
落語家さんのイメージに合わせて決まったようです。
当時は、落語家さん御自身が選ぶなんてめっそうもない!な雰囲気だったようですが、今では御自身の希望で出囃子を決める事も可能になりつつあるんだとか。
ユニークな出囃子は「ミッキーマウスマーチ」。
どなたの出囃子だと思いますか???。 桂小枝さんで〜す。
ちなみに、、、。
〜石段〜という出囃子は、前座でも一番最初に登場する落語家さんの入り込みに演奏されます。
「早く石段を上がって出世しますように☆」との思いがこもっているそうです。
ここで、前記の
【当り鉦】の豆知識。
当り鉦は、擦って音を出します。ですので、「すりがね」と呼ばれていました。
ですが、「する」という言葉は、お金が出ていってしまうよくないイメージがします。
ですので、「する」の代わりに「あたる」という、景気の良い呼び名におきかえたんだそうです
よって、すって音を出す
「すり鉦」の事は「当り鉦」。
つまり、
「すりばち」を「あたりばち」、「すずり箱」を「あたり箱」、「するめ」のことを「あたりめ」と言うのと同じです。
ということは。。。
「スリッパ」のことは、「アタリッパ」、「スリランカ」のことは「アタリランカ」ですね。って。。。
そんなはずありません:笑
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〜胴乱の幸助〜あるところに、仕事一筋で生きていて、今は店を息子に譲り、裕福な隠居暮らしの幸助さんという男がいました。
なにせ、若い頃から遊ぶなんてめっそうもない、とにかく真面目に働いてだけきたので、たっぷりある時間とお金の使い道がわかりません。
そんな、幸助さんの唯一の楽しみは、ケンカの仲裁。
揉めている所に、「まぁまぁ。ケンカはおやめなさい。」と割って入り、ケンカをしていた人達に「お!こりゃぁ、割り木屋のおやっさん。おやっさんに止められちゃぁ、ケンカなんてしてられない。このケンカ、旦那に預けます。」。と言って貰い、ケンカをしていた者達を料理屋に招待して酒と御馳走をふるまいながら仲直りをさせるのが幸助さんの道楽。
ってな事で、お金は無いけれど美味しい酒と食事が食べたい若者達が、幸助さんの目の前でケンカをしているフリをして、幸助さん支払いで飲み食いを満喫〜♪なぁんてことも、あったりします。
そんなある日、幸助さんは、大勢の人が集まっている家の前を通りかかります。
聞こえてくるのは、“親じゃわやい。”“ちぇ〜、あんまりじゃわいなあ。”という声。
のぞいている一人が「この嫁いじめくらいえげつないのはおまへん」と言うのが聞こえた幸助さんは、「よっしゃ、わしの出番や。ケンカをとめたる!。」と家の中へ。
中では、『桂川連理柵〜帯屋の段〜』(浄瑠璃)の稽古の真っ最中。
そう!。きこえた声は、浄瑠璃の一場面の台詞。
「ケンカはどこや〜!。」と突然入ってきた幸助さんに、浄瑠璃のお師匠さんが言います。
師匠:「これは浄瑠璃の一節です。」
幸助:「浄瑠璃って何や?。」
師匠:「お半長です。」
幸助:「お半長って何や?。揉めてる原因は何や?。とにかく、揉めてる2人を出せぃ。」
師匠:「わからん人やね。これは、帯屋はんの話。そこの主人が長右衛門さん、元々は養子さんで、舅(しゅうと)が半斎さんというて、いい人なんやけど、この人の後妻に入った、元は女中のおとせ(長右衛門さんの義母)が、悪い人で。連れ子の儀兵衛に店を継がせる為、長右衛門さんを放り出そうと考えてんの。長右衛門さんは、貞淑なお絹さんという奥さんがいるにも関わらず、お伊勢参りの途中で、石部の宿の出羽屋という旅籠で近所にある信濃屋のお半という娘さんとたまたま泊まりあわせて、このお半さんは、前々から長右衛門さんのことが好きで、この夜にゴジャゴジャとややこしいことになってしもうて。いわゆる不倫ですわな。女房のお絹さんは、すべて承知で、亭主の恥を外に知れまいとしてるんやけど、これをネタにおとせが長右衛門さんを家から放り出そうとしてまんねやな。」。
幸助:「なんやと!。場所はどこや?。」
師匠:「場所でっか?。お半長やねんけどね。柳馬場押小路虎石町の西詰の帯屋さんです。」
場所を知った半助さん、大阪から京都へ向かいます。
汽車が開通したてでしたが、着物を汚したくない幸助さんは、日数がかかってもええわ、と船で出発。
京都に着くと。。
柳馬場押小路虎石町の西詰に帯屋さんがありました(もちろん、お半長とは無関係)。
幸助:「おい、長右衛門を出せ?。」
番頭:「うちの主人は虎之助です。」
幸助:「ん?ではお絹さんを。」
番頭:「うちの女将さんは、お雪です。」
幸助:「なら、近所のお半さんを呼んで来い。」
番頭:「ん?、もしかしてお半長ちゃいますか?。」
幸助:「お半長って何や?。わしは仲裁のために大阪から来たんや。」
番頭:「まぁ、大阪から。まぁ、68歳のお歳で。長右衛門さん達の為に?:笑。」
幸助:「なんでもええから、長右衛門達を呼べ。」
番頭:「とっくに心中してはりますよ。」
幸助:「しまった!。
汽車で来たらよかった。」
ってな事で、大爆笑
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最後まで、お芝居(浄瑠璃)のお話だとはわからなかった幸助さん。
船で来たから日数がかかって、心中する前に京都に着けなかった。汽車だったら心中の前に着けたのに。。。と考えたのでありました。
ちゃん、ちゃん。
そうなんです。人生、仕事も遊びも両方満喫が必須なのですよ〜
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